華麗にもなれずただ純ー

MARCHクラスの大学を卒業。ビジネスマンとして戦う日々。

行政団体と検索サービスに検索結果で人生を壊された話-それでも夜は明ける-

(※特定を防ぐために、一部脚色してます※)

 

▪️はじめに▪️

1年半近く戦った検索結果の問題を多くの人に共有したいと思い、ここに記しました。自分の氏名で検索すると、ネガティブな検索結果が表示され続けて、それを消すための裁判でかなりの時間とお金を割いてきました。そして、精神が病み続けました。検索結果の恐ろしさと人生が壊れる検索結果の問題で悩んでいる方々の参考になれば嬉しいです。

 

先ずはじめに断っておくと、問題の原因は少年時代の自分自身が引き起こしてしまったことなので、自業自得であることはわかっています。しかしながら、少年時代に関わってしまったことを反省し、自分なりに真っ当な道を進み続けてきました。大学に進学し、世間から立派であると言われる社会的ポジションには到達したし、世の中に貢献する仕事にも就いています。だからこそ、ネガティブな検索結果が自分の人生に与える影響は小さくなかったし、何よりもその更生したこと自体が否定され続けると感じて苦しみ続けました。自分の人生は一体何だったのか、常に自問しました。

 

▪️ネガティブな検索結果で味わう苦しみ▪️

検索結果が表示されている間は、想像を絶する苦しみでした。いつ誰に見られているかわからない恐怖と戦い続け、一生消えない可能性という恐怖で精神がおかしくなり、人生が壊れていく音がしていました。直接的な問題は転職活動にありました。エージェントや会社と転職に関わるやり取りしていたのですが、検索結果が表れてから全く連絡が取れなくなってしまいました。それから、公衆の面前で悪人であると晒され続けている感覚になり、1年以上も数分に1度の頻度で氏名の検索結果を調べるという狂った癖ができて、物事に集中できなくなりました。また、もし見られたらという恐怖から交友関係や異性にアプローチするのが怖くなったりと、人との関係構築が怖くなりました。実際にまともな精神状態でいられなかったので、全く気持ちの余裕が持てず、その時に好きだった相手にも振られてしまいました。検索結果を消すために戦っていた期間、心がボロボロになり、眠れない夜を過ごしました。

 

検索結果というものは、直接的な影響がなくても、安定した精神状態を保つことが難しくなり、大きく人生を狂わせます。

 

勿論、犯罪者の個人情報は公開していることに意味があります。しかしながら、検索結果にその情報が残り続けている限り、人生を立て直すことはできません。それはもはや、司法で受ける罰さえも超えています。検索結果のサービスが私刑し続けているのが現在です。


■検索結果削除の戦いの流れ■

-第1期:10年以上の歳月を経て晒される少年時代の検索結果を消すための行政団体との裁判-
 

<タイムライン>

2018年5月頃:自身の氏名の検索結果に犯罪に関わったような内容が表示されることを発見

2018年7月頃:公告リストを掲載している行政団体に氏名削除の申立

2018年11月頃:行政団体にて公告の氏名を削除

2018年12月頃:検索結果上の全ての検索結果が消滅

 

<壊れ始めた日常>

私は少年時代に悪い先輩と交友があった時に、犯罪に加担してしまいました。そして、その事実に関係する内容が行政団体のある公告リストに掲載されてしまいました。掲載され始めた当時は、Googleの検索結果には引っかからなかったので、大きな不安を感じずに、仕方ないと諦めていました。しかしながら、10年以上の歳月が経ったタイミングで突如、Googleの検索結果に表示されました。犯罪があった当時、私自身は少年だった為、実名で報道されることはありませんでしたが、検索結果を見るともはや犯罪に加担したという事実が明らかとなってしまう状況でした。

 

少年は実名や写真等を使用した報道をしてはいけないと少年法第61条に記載があります。その少年法があるにも関わらず、このような自体が起きたことに衝撃を覚えました。そして、まず、その行政団体に対して、問い合わせをしましたが、「検索結果と我々は関係ない」と全く取り合ってくれませんでした。その次に、Googleの法的フォームから削除の申立てを行いましたが、それでも駄目でした。この時点から既に精神状態がおかしくなっていた私は知人の弁護士に相談し、検索結果の専門の弁護士の方を教えてもらい、行政団体に対する公告リストからの氏名の削除に関する裁判を行う決意をしました。

 

裁判が始まった当初、行政団体は消すつもりは無いと裁判官に意見していました。しかしながら、裁判官はこの公告リストはいつまでも晒すようなものでは無いのだから、削除するルールを作りなさいというスタンスであり、こちらの優位で裁判が進んでいきました。結局、行政団体は削除のガイドラインを策定し、時間は掛かりましたが、削除対応をして頂き、検索結果も消滅しました。検索結果上からなくなった時の感動は忘れません。

 

-第2期:サイトに情報がないのに残り続ける検索結果を消すための検索サービス業者との裁判-
 
<タイムライン>
2019年3月頃:某検索サービスで行政団体の公告の検索結果が再び表示されていることを発見。それ以降、検索結果だけが消えては復活しての繰り返しが続く

2019年6月下旬:サイト上に氏名がないにも関わらず、検索結果だけ表示され続ける為、検索サービス業者に検索結果の削除の申立

2019年8月初旬:検索サービス業者より、任意の削除を検討していると意見書が届く

2019年8月下旬:検索サービス業者の削除対応が遅延したことにより、裁判官が審議を開始。検索サービス業者は自分達の対応が遅れていること関係無しに法的には削除しないくても良いという意見を示す

2019年10月初旬:裁判官の言動から弁護士が勝てないとの推察を受けて取下げを決断

2019年10月下旬:検索サービスに表示され続けていた残りの2件が自然消滅し、全ての検索結果が消滅

 

<悪夢が再発>

裁判を通して消してから3ヶ月後、ようやく人生を取り戻したと思っていた矢先、何気なく調べた検索結果に再表示されているのを発見しました。何度確認してもサイト上には氏名がない為、検索サービスのサイトである"古いコンテンツの削除"で定期的に削除を試みましたが、検索結果が消えては再表示され続ける奇妙な現象が続き、結局約2ヶ月以上も表示され続けていました。


事象の原因を調べると、行政団体のサイトがhttpからhttpsに移行し、301リダイレクトを設定している為に、起きている事象であることをつき止めました。リダイレクト設定を行うと、過去に検索サービスに登録されたインデックスをそのまま使用する為、検索結果が引き継がれてしまうことによる問題でした。これを考えると、検索サービスに仕様に問題があると言わざる終えませんが、それにも関わらず、何の対応もしてくれない事に対して絶望しました。神経が過敏になっていた私は、再度弁護士に相談して、今度は検索結果自体を削除して貰う為に、検索サービス業者に対する裁判を行うことになりました。サイト上の氏名は完全に消えて検索結果に表示される理由がないにも関わらず、裁判をしなければならない理不尽さを感じながらも、やらない訳にはいかなかったのです。

 

当初、検索サービス業者は任意の削除を検討しているとの回答でした。その為、弁護士も私も安心していましたが、検索サービス業者の対応が遅延し、最終的にはバグが発生しており、直ぐには対応できないということを言い始めました。更に最初の発言とは逆に法的には消す必要はないと意見してきたのです。改修作業が思うように進まないというその理由だけで、問題を問題ではないと言ってきたことには驚愕しました。さらに驚いたことに、裁判官は消す想定であるという検索サービス業者の元々の主張とは逆の消す必要はないと考えているようでした。弁護士の方曰く、直接的な被害に被っているわけではない限り、法的に認めることは難しいということでした。検索結果は実被害ではなく、それがあることの精神的苦痛が主たるものであると考えていたので、私は裁判官に認めて貰うために陳述書を書きましたが、弁護士の方が法的には勝てる見込みがないとのことで、結局取り下げをせざる負えませんでした。最初は消すといいながらも、結局は消さないという余りにも理不尽な結末があるのかと感じ、これからこのいつ消えるかもわからない検索結果と共に生きていくしかないのかと思った矢先、なんとその1ヶ月後に消滅しました。これは、自然消滅か検索サービス業者が遅れて対応したのかわかりませんが、いずれにせよ理不尽な戦いが終わりました。


-第3期:再びの表示による地獄の1ヶ月-
 

<タイムライン>
2019年11月下旬:再び公告の検索結果が表示

2020年1月初旬:検索結果が消滅

 

<理不尽さに自殺がよぎる>

ようやくこれで終わりだとホッとしたのも束の間、まさかの3回目の再表示が発覚しました。何故かわからないまま、行政団体のサイトを良く見てみると、リダイレクト先のURLが変更されていました。またもやリダイレクト設定によって、検索サービスにインデックスしてある過去の検索結果を表示するようになってしまい、再び地獄に叩き落された気分でした。この時期は自暴自棄になり、余りにも酷いと感じて、一瞬死ぬことも考えるようになりました。何度も何度も繰り返される検索結果の苦しみから開放される為には、死ぬか名前を変えるかどちらかしかないと考えました。実際に、行政書士の方に氏名の変更の相談をしましたが、本当に特別なことがない限り、氏名を変更することは難しいと言われました。どのように対応すれば良いのか途方に暮れていた時に、検索結果が1ヶ月程度で消滅し、こうして長い戦いが終結しました。その後、数ヶ月経ちましたが、表示は一切ありません。

 

▪️戦いが終わって▪️

検索結果の悩みから解放されて、時間が経って改めて感じるのは、お金も時間も人間関係さえもこの戦いで奪われてしまったということです。裁判費用や逆SEO(ネガティブな検索結果の順位を下げる)に数十万円のお金が掛かり、悩み続けて検索結果を調べて時間を無駄にして仕事のパフォーマンスは下がり、大好きだった人に余裕が無いという理由で見限られてしまいました。今は虚しい気持ちと、少し前向きな気持ちが入り混じっています。

 

犯罪者は晒されるという基本的な考えは仕方ないと思います。私も仮に成人した後に罪を犯した結果の問題は受け入れます。これから犯罪を犯した者は、たとえ刑期満了で刑務所を出たとしても、検索結果がある限り、犯罪者の烙印が残り続けます。検索結果で直接的な問題を被らないかもしれませんが、その晒されている状況を普通の精神状態で生きていくことは大変です。この人生とどう向き合うかを考えなければなりません。

 

また、自分に非はなくても、いつ自分自身が検索結果の問題に巻き込まれるかわかりません。解決しようにも個人だけの力は限りなく小さいです。今回感じたことですが、検索サービス業者の対応はもはや個人の人生なんて沢山ありすぎて構ってられない、そのスタンスに尽きます。このデジタルが当たり前になった世界で、どのように個人の権利を守るかを改めて考える必要があるのではないでしょうか。デジタルの世界に法律やルールを合わせていかなければならないと強く思います。

 

最後に、もしこれを読んでいる人が、検索結果で苦しんでいたら、先ずは優秀な弁護士に相談することをお勧めします。弁護士の中には、最初から諦めてそもそも受けてもらえなかったり、大した対応せずによく分からないことでお金を取ろうとする弁護士も存在します。行政団体への裁判は、最初に相談した弁護士からは「これは法律に基づいて行われていることだから、申立はできない」と言われました。しかしながら、実際には裁判を通して対応して頂き、裁判官も弁護士に対して「これは大きな出来事」だと言っていました。また某検索サービスとの裁判は、巷でニュースになっている通りに勝つことが非常に難しいため、やりたがらない弁護士は多いです。ここまで弁護士によって、アプローチの仕方が異なることには驚きました。私は非常に心強い方にお願いできましたが、そういった方を選ぶことがこの問題を解決する近道です。そして、精神的に辛い日々が続いていると思いますが、勇気を持って下さい。夜は明けると信じて出来ることを粛々と進めて下さい。

 

心の平穏は贅沢なものです。

この戦いに苦しんでたことが伝えらず、傷つけてしまった人へ。

 

 

それでも夜は明ける(字幕版)

それでも夜は明ける(字幕版)

  • 発売日: 2014/10/02
  • メディア: Prime Video